嫌なヤツ

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「準備できたぞ」 ユウが楽しそうに笑いながら、俺の元に駆け寄ってきた。 背は随分小さいな。 160前後か? 「この木刀をお使いください」 「あ、え? お使いします……」 投げられた木刀を受け取り、聞き慣れない敬語に少し困惑した。 「この畳の中で勝負願います。そちらが負ければ、ナギさんは1週間の謹慎ですね。もしも勝てたならチャラですが」 ステージは30畳程の長方形でプロレスのリングみたいに、ゴムロープで周りを囲まれている。 ゆっくりとステージに上がり、5m程先にいるユウを睨み付けた。 いいのか? 自分だけ武器を持つというのは、なんだか気が引ける。 「そちらの好きなタイミングでどうぞ」 「おう、かかってこい」 完全に舐められているな。 けれど確かに経験の差は大きい。 俺なんかはまだ素人に毛が生えたようなモノだが、ユウの構えは様になっている。
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