嫌なヤツ

9/15
前へ
/126ページ
次へ
「こないの? じゃあ俺から行っちゃうよ?」 言ってること違うじゃないか。俺は考えてからじゃないと行動出来ない、チキンなのだ。 少しくらい待ってくれたっていいだろう? イヤ、そういえば先手を取ることに意味はあるのか? ターン制のRPGじゃないんだ。 「こいよ、ホスト野郎」 そう言った俺に対し、ユウが不敵な笑みを浮かべる。 「じゃあそうさせて貰う。火の玉火の玉火の玉火の玉火の玉火の玉!」 ボーイソプラノが火の玉と叫ぶと、ユウを囲うように野球ボールサイズの火の玉が現れた。 今時の武術は火の玉も出せるのか? そりゃ科学は日々進歩しているからな―― 「そんなわけあるかっ! どうなってるんだよ、藤っ」 独りツッコミは置いといて、本当どうなっているんだ? 「まさかもう副の部活までマスターしてるの?」 そんなコト言われたって俺にわかるハズがない。 言霊ってヤツだよな? ってコトは文学部か。 でも火の玉をどうっ―― 「オイ馬鹿っ、いきなり飛ばしてくるな!」 火の玉が1つ、耳元を掠った。焦げた匂いが鼻につく。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加