嫌なヤツ

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「次は当てる」 今のはワザと外したってか? さて、どうする? 考える時間はそんなにないぞ。 「タマ、野球よ野球」 ナギが叫ぶ。 まさか火の玉を打てってか? そんな馬鹿な。 「大丈夫、まだ完璧じゃないから、直線的にしか飛ばせないはず」 と、琴音が言う。 幾ら直線的たって、相手との距離は僅かに5m程だ。 「行くぞ」 ヤバいぞ、打てるか? ユウが指で火の玉に指示を出すと、1つが俺の顔面に向かって飛んできた。 こんちきしょうっ! 「危険球だっボケェっ!」 今出来るだけの力を腕にこめて、飛んできた火の玉目掛けてフルスイングをした。 一瞬振動が体を駆け巡ると、火の燃え盛る音が響き、体から感覚が消える。 打てた……。 火の玉は右に弾け飛び、観客……というか野次馬が悲鳴を上げた。 「へぇ、やるじゃん」 イケる。 体が想像以上に軽い。 身体能力が明らかに上がっている。
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