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ずっと変わらないと思ってた。永遠に続くと思ってた。当たり前だと思ってた。
……だけど現実は残酷だった。
だから決めたんだ。……友情なんかいらないって……
それは寒い頃の記憶。入学式も終わり、桜の季節だというのに白い雪が舞い降りた日。
都心にも雪が降り積もり、辺りが桜の薄紅色と雪の白さで覆われた頃の記憶。
「ハァハァハァ」
雪道を小柄な少年がひとり駆けていた。着込むのは新品の制服、どうやら入学仕立ての高校生らい。
何故かその胸に女性物のバックを抱き抱え、なにかに怯えるように、通りに面する公園内に侵入していく。
だが慣れない雪道に足を取られ、もんどり打つように地面に倒れ込んだ。持っていたバックが雪の中に転げ落ちる。
「早く、早く返さなきゃ……」
あたふたと戸惑いつつもそれを拾い上げる。
「やっと追いついたぞ」
その時突然、後方から声が響いた。
「えっ?」
その表情が凍りついた。恐る恐ると後方を振り返る。
「ザケたガキだ。俺らから盗みを働くなんてよ」
「マジだわ。馬鹿な小僧」
そこに立ち構えていたのは十人程の少年達。派手なスカジャンや、革ジャンを羽織る不良らしき集団だ。
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