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その間にサングラスは、黒髪の手前に立ち尽くす。
「ムカつくんだよ。俺とのタイマン勝負、何故逃げた!」
その拳が黒髪の頬を捉えた。
それはその場の誰もが驚く展開だ。どうやらサングラスは、黒髪の仲間ではないようだ。それどころか黒髪を狙って、ここまで来たらしい。誰もが茫然自失でその情況を見守るだけ。
一瞬の沈黙がある。
「この状況で、何故俺を殴る!?」
刹那、黒髪の表情及び口調が一変する。
「いい加減にしろ、このド不良!!」
サングラスの胸ぐらを引き寄せ頭突きをぶち込んだ。
「ド不良で悪いか。とにかくタイマン勝負だ。てめぇだけは入学当初からムカつくんだよ!」
ばっと飛び退き、回転からのハイキックを放つサングラス。
「馬鹿じゃねぇ? 俺だってムカつくんだ。馬鹿のくせに黎明に入学しやがって。……てめーはまんま不良なんだよ、エリートってイメージ皆無!!」
それを腕でガードする黒髪。そのままたぐり寄せ押し払った。
しかしサングラスも負けてはいない。
「馬鹿とはなんだ馬鹿とは。こちとら一生懸命ベンキョーして黎明に入ったんだ! ……今どきウケんだろ、頭も良くて喧嘩も強い、漫画のヒーローみてぇだ!」
黒髪の胸ぐらにしがみ付き一緒に崩れ落ちた。
「マジ馬鹿だろ? このヤンキー丸出し。どんな手使って入学したんだ? あれだろ、裏口入学って奴……」
「ヤンキーだぁ? てめー、俺は地元の横浜じゃなぁ……」
「裏口入学には触れないのか。図星か?」
「まぐれだ、たまたまだよ。じゃなきゃ、あんなダッセーガッコー行くか!」
「止めてよ二人共、そんな場合じゃないだろ!」
小柄が制するが、一向に二人の争いは収まらない。益々激しくなり誰も手がつけられない。
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