1771人が本棚に入れています
本棚に追加
「嘘だろ? まさか最初っから狙っていたのか?」
「いやそんな筈ない。あれは本気の喧嘩だった。あいつら本気で殴りあいしてた」
ワナワナと言い放つメサイア達。倒された三人は、この中でもかなりの実力を誇る武闘派。その三人のあっさりとした敗北は、認められない空気が存在した。
その間に黒髪達は落ち着きを取り戻しつつある。
「腕は大丈夫なのか?」
「うん」
「まぁいい。お前との決着は、この雑魚を制してからだな」
チグハグな会話を繰り出す三人。
「いったいお前ら、何者なんだ?」
リーダーが、呆れたように訊ねた。
ゴホンと咳払いするサングラス。なにか言いたげな、堂々たる態度だ。
「俺は神奈川県最強、16号線の覇者………………」
「黎明学園一年F組、クラスメート!!」
それを制して黒髪が言った。
「不良だね」
「おめぇな。俺が自己紹介してるのにだな。だから………………」
「不良はこいつだけ。俺は違うからな!!」
「……進藤くんも成瀬くんも、大して変わらないけどね」
「あんだぁ、この“じゃり”は? 確か同じクラスの秀才だなぁ。……シメルぞ」
「弱い者いじめは止めろよ。それこそ外道だ」
それが俺達の始まりの光景。入学したてで、他人の素性など分からなかった。名前さえもうろ覚え、これから始まる出来事さえ予測不能。
だけど俺達三人の友情はここから始まったんだ。桜と雪のコントラスト、寒いけれど心だけは熱かったあの日から……
最初のコメントを投稿しよう!