永遠の絆

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 ずっと変わらないと思ってた。永遠に続く関係だと思ってた。当たり前の環境だと思ってた。  だけど現実は残酷だ。  時が過ぎ、俺達の思惑も余所に事態は動き出す…… 『……朗報だ。本田の意識が戻ったそうだ。数ヶ月リハビリに励めば、復学も望めるだろう』 『良かった』 『彼は優秀な生徒だからね。いずれは社会を動かす(かなめ)となる生徒』 『確かに彼は、我が校にとって必要な生徒です。ですが残りの二人は、あの二人はどうなるのでしょう?』 『成瀬と進藤のことかね?』 『はい。彼らのことです』 『成瀬は退学だ。暴走族などに加入し、我が校の規律を乱したんだ。それが原因で本田はあんな目に遭った』 『しかしそれは、彼が直接関わった訳では。むしろ我々が……』 『キミは、自分の立場を(わきま)えているのかね?』 『……ですが』 『我々としては的確な判断だと思うがね。彼が居なければ、本田はあんなことにはならなかった。あんな不良に関わなければ、普通の学校生活が送れた。立派に卒業して、社会の歯車になれた。そうは思わぬかね』 『お……思います』 『元々成瀬は、我が校にはそぐわない人間だったのだよ。居場所を誤り、他の優秀な生徒を惑わした。結果今回のような痛ましい事件に発展した。だからその罪を償う。それだけのことだ。根本的な問題だよ』 『……ならば、進藤くんはどうするおつもりです?』 『彼も同じさ。同じく他の生徒を惑わした罪でここを辞めてもらう』 『ですが、それだけでは退学させるような理由には』 『そうだね理由にはならない。だから他の高校に転入してもらうんだよ。彼とて、事件に関わった者として、我が校には居づらいだろうからね。彼が望むなら、やり直すチャンスは与える』 『本当ですか? ありがとうございます』 『あんな出来損ないでも、利用価値はあると判断したからね』 『えっ?』 『キミも知ってるだろう、聖翔(せいしょう)高校。現在我々が改革を進めている学校だよ。彼にはそこに転入してもらう』 『聖翔ですって?しかしあそこは買収したばかりで、未だ多くの問題児が集結しているはずでは』 『だからだよ。彼にはその問題解決のために一役買ってもらうつもりだよ。我が理想はエリートの育成。……その礎になってもらうのさ』  偶然に出会った友情は、くだらない大人の思惑によって崩壊する。  レッテルを貼られ、居場所を奪われてバラバラにされた。  俺達の苦痛なんか気にもしないで……  だから決めたんだ。……友情なんかいらないって……  お前らにかわる仲間なんか、一生賭けたって見つからないんだから……
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