1771人が本棚に入れています
本棚に追加
ずっと変わらないと思ってた。永遠に続く関係だと思ってた。当たり前の環境だと思ってた。
だけど現実は残酷だ。
時が過ぎ、俺達の思惑も余所に事態は動き出す……
『……朗報だ。本田の意識が戻ったそうだ。数ヶ月リハビリに励めば、復学も望めるだろう』
『良かった』
『彼は優秀な生徒だからね。いずれは社会を動かす要となる生徒』
『確かに彼は、我が校にとって必要な生徒です。ですが残りの二人は、あの二人はどうなるのでしょう?』
『成瀬と進藤のことかね?』
『はい。彼らのことです』
『成瀬は退学だ。暴走族などに加入し、我が校の規律を乱したんだ。それが原因で本田はあんな目に遭った』
『しかしそれは、彼が直接関わった訳では。むしろ我々が……』
『キミは、自分の立場を弁えているのかね?』
『……ですが』
『我々としては的確な判断だと思うがね。彼が居なければ、本田はあんなことにはならなかった。あんな不良に関わなければ、普通の学校生活が送れた。立派に卒業して、社会の歯車になれた。そうは思わぬかね』
『お……思います』
『元々成瀬は、我が校にはそぐわない人間だったのだよ。居場所を誤り、他の優秀な生徒を惑わした。結果今回のような痛ましい事件に発展した。だからその罪を償う。それだけのことだ。根本的な問題だよ』
『……ならば、進藤くんはどうするおつもりです?』
『彼も同じさ。同じく他の生徒を惑わした罪でここを辞めてもらう』
『ですが、それだけでは退学させるような理由には』
『そうだね理由にはならない。だから他の高校に転入してもらうんだよ。彼とて、事件に関わった者として、我が校には居づらいだろうからね。彼が望むなら、やり直すチャンスは与える』
『本当ですか? ありがとうございます』
『あんな出来損ないでも、利用価値はあると判断したからね』
『えっ?』
『キミも知ってるだろう、聖翔高校。現在我々が改革を進めている学校だよ。彼にはそこに転入してもらう』
『聖翔ですって?しかしあそこは買収したばかりで、未だ多くの問題児が集結しているはずでは』
『だからだよ。彼にはその問題解決のために一役買ってもらうつもりだよ。我が理想はエリートの育成。……その礎になってもらうのさ』
偶然に出会った友情は、くだらない大人の思惑によって崩壊する。
レッテルを貼られ、居場所を奪われてバラバラにされた。
俺達の苦痛なんか気にもしないで……
だから決めたんだ。……友情なんかいらないって……
お前らにかわる仲間なんか、一生賭けたって見つからないんだから……
最初のコメントを投稿しよう!