第三土曜日の覇王

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「ジュピターは東京を縦に横断しちまったんだ。……途中、ひとりの逮捕者も、ひとりの一般人の負傷者も出さずにだ」 「それを警視庁が黙認したんですか?」 「そうだ黙認した。上層部はなにも言わなかったが、殆どの連中は知ってる。翌日総長は引退、口裏合わせで数人が道交法違反で引っ張られた」 「つまり今回もそいつが発動したと?」 「多分な。……だがおかしい」 「なにがです?」 「こいつらは横浜のチームだろ? 神奈川県警だけの問題な筈だ。なのに何故奴らはここを走ってる? 何故警視庁がその提案に乗った、何故黙認した」 「……さあ、自分には判りかねます」 「おそらくだが、警視庁、もしかしたら警察庁のお偉方が絡んでるのかも知れん。だから警視庁は黙認した」  真実は藪の中。それでもなにかしらの思惑が動いているのは明白だった。そんな思惑も他所に、街は何事も無かったかのように動き出している。
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