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「同じ黎明のお坊ちゃんか。……この小僧の仲間か?」
再びリーダーが問い掛ける。
「いや、まだ仲間じゃないんだよな。それに俺はお坊ちゃんでもない。世間一般に言う貧乏」
それを黒髪が否定した。
「成る程、まぐれで黎明に入学できたか。もしくは世間知らずな、ただの馬鹿ってこと」
「ヤバいんだよな。特待生じゃなきゃ、授業料も払えない。それにまだ学生だから、世間知らずかもな。だけど、人の物を盗むのは犯罪だ、ってくらいは知ってるけどな」
「やけに饒舌だな。挙げ句の果てに、今度は説教か?」
「悪いな。ムカつく奴らを見ると、勝手に口走る。……一応言っとく。おとなしく警察に自首した方がいいんじゃねーか?」
「冗談。自首なんかするぐらいなら、最初からやらねーって」
「そう言えばそうだ。犯罪に走る奴らの決まり文句」
そして会話が途絶えた。既に両者、一歩も譲らぬ状態だった。
「ヤスオ、コージ、ショウヘイ」
パチンと指を鳴らすリーダー。
「まずはそいつ、ヘタな口が利けないよう、ボコボコに叩き潰せ!」
黒髪目掛けて号令した。
同時に張り詰めていた狂気が爆発する。
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