永遠の絆

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「えっ?」  はっとして視線を向ける。同時にその腕に痛みを感じた。 「遊びはそれまでだ。もう止めろ、コゾー。このガキの腕、折られたくなければな!!」  雪景色に響き渡るリーダーの怒号。 「なんだって?」  呼応してその攻撃を止める黒髪。 「進藤くん……」  か細く響く小柄の声。どうやらリーダーに強襲されて、後ろ手にされたようだ。 「馬鹿な奴。喧嘩はひとりじゃできねーんだよ。ましてやこんなコゾー引き連れちゃな!!」  声高々に吠えるリーダー。 「げはげは、さすがリーダーだぜ」 「戦争の仕方、理解してんよ」  それに呼応して仲間達が卑下た視線を向ける。 「残念だったなコゾー!」  短髪の放つ蹴りが、黒髪のわき腹を捉えた。 「くっ!」  咄嗟に飛び退く黒髪。バックステップで間合いを取った。 「馬鹿っ、そいつを放してやれ。そいういのは卑怯者がやることだぞ!」  そして恨めしそうに言い放つ。腕に覚えがあろうと、人質を取られては刃向かえない。 「へへへっ。どうせ俺ら犯罪者、刃物使おうと、人質取ろうと一緒のこと」 「言えてんな。戦争も喧嘩も勝つのが上等、最後に立ってた方が勝ちだ」  (あざけ)るように吐き捨てる短髪と迷彩服。 「散々逆らったお返しだ!!」 「さっきの恨み、倍にして返したる!!」  黒髪目掛けて再び攻撃を開始した。 「くそっ、マジで息がきつかったぜ」  堪り兼ねたように胸を押え立ち上がるスカジャン。 「コージ、特別ルールだ。オプション使って復活させてやる」  その傍らの男が、木刀を投げ渡す。 「敗者復活ってか。今度こそ奴にゲームオーバーの文字を刻んだる」  スカジャンがそれを受け取り、すかざす黒髪の後頭部目掛け垂直に走らせた。 「危ない進藤くん!!」  小柄の視線の先、黒髪の首筋を木刀が貫いた。
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