永遠の絆

8/13
前へ
/259ページ
次へ
「進藤くん……」  絶望から、その瞼から涙が溢れ出す。 「なんだよ、コージ。エモノ使って、これでお終いか?」 「マジつまんねー。せっかくの狩りだったのにな」 「バーカ、刃物使おうが勝ちは勝ちっつったのてめーだろ? 頭いいって言ってくれや」  対する三人は勝ち誇った表情だ。笑みを見せ、冗談交じりに会話を繰り出している。 「もういいから逃げて!」  小柄の胸中、堪らない感情が溢れだす。心の底からの台詞だった。  黒髪はまだ倒れることはなかった。よろよろとふらつき、天を仰いでいる。 「……なんで逃げなきゃならない?」  真っ白い吐息が空に舞った。 「えっ?」 「確かに俺達はダチじゃない。だけどお前を置いて逃げられるかよ、同じクラスメートなんだぜ。結果として、俺とお前は出会っちまった」  空を仰いでいるため、その表情は見えない。だけど堂々たる台詞だ。 「進藤くん……」  それは小柄からすれば意外な台詞だった。仲間でもない友達でもない。ただのクラスメート、それもまだ一週間程の関係でしかなかったから。 「騒ぐなコゾー!!」  その淡白な会話がリーダーの(しゃく)に障ったようだ。ムカつき加減に腕に力を籠める。 「てめー、痛みでラリってんのか!? 他人より自分を心配しろよ!」 「マジウゼーんだよ! 友情ごっこなど、ガッコーでやれ!!」 「今度はその首、跳ね飛ばすか!!」  そしてそれは短髪達も同じこと。ムカつきを(あらわ)にして、黒髪目掛け動き出す。 「くそっ、頭がフラフラすんぞ。……せめてあいつが人質じゃなきゃ……」  黒髪はまだ先程のダメージが残った状態だ。ゆらゆらと覚束ない視線で、三人を捉えた。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1771人が本棚に入れています
本棚に追加