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ヴオン、ブオン!! 突然バイクのエキゾーストが響き渡った。
白いなにかが、リーダー目掛けて勢い良く飛んでくる。
「ぐぉっ!?」
それは雪玉だ。的確にリーダーの頬を殴打し、粉々に砕け散る。反動で仰け反り、小柄の拘束を解いた。
「いてー筈だな。なんせ石を仕込んだ特製の雪玉だから」
公園入り口には、新たなる人物の姿があった。バイクに背を預けた、フライトジャケットの男だ。金髪をリーゼントに撫で付け、サングラス姿の男。
「お前、何故ここに……」
「成瀬くん……」
黒髪と小柄、同時に呟く。
「あれ程ガッコー帰りに体育館裏で待ってろ、って言ったのにな」
口に煙草をくわえ、ゆらゆらと頭を振り歩き出すサングラスの男。
「あれだ。……男に待たれるなんて、趣味じゃなくて……」
黒髪が言った。戸惑うような憂いの籠る台詞だ。
「もしかして成瀬くん、俺達の危機を察して?」
そのすぐそばでは、難を逃れた小柄がホッと胸を撫で下ろしている。
それはメサイア達からすれば脅威の存在だった。黒髪達の知り合いのようだが、エリートには見えない。どちらかと言えばドヤンキー。体勢を構えて遠巻きに対峙する。
漠然とした空気が包み込む。寒いのに熱い、緊迫感溢れる空気だ。
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