5/7
前へ
/7ページ
次へ
ドクターへの挨拶もそこそこに、 クリスはその広告を読みあげた。 「どなたへの贈り物ですか? 相手の方のお名前、 お知らせください。 めんどうなお品えらびの手間がはぶけます」 クリスは、 新聞を床に放りだした。 「先生‼ クリスマスも落ちたもんですね‼ 金儲けのダシにされるなんて‼ これじゃあ、 クリスマスが泣きますよ‼」 まったくだ、 とドクターもうなずいた。 「そりゃあ、違う。 世の中、 ずいぶんとあわただしいが、 サンタクロースをばかにする人はいませんよ。 クリスマスの本来の意味だって、みんな、 ちゃんと知っています」 そう言うと、 クリスは顔をほころばせた。 「先生、 クリスマスにほしいものは、なんですか?」 ドクターは、 自分に言い聞かせるような調子で答えた。 「そうだなぁ…… レントゲンの機械かな。 ここのは、 もうずいぶん古いからね」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加