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クリスは、 足し算、引き算、同義語を三つ四つ、すらすら言ってみせた。 年を取ってはいても、クリス・クリングルの頭が人一倍しっかりしているのは、 疑いなしと思われた。 「わかってる」 ドクターはおだやかな声で言った。 「問題は 〈クリス・クリングル〉 という名前なんだ。 ほら、 まえにもその話しはしたろう?」 「ははあ、 わたしがサンタクロースだってことですか?」 ドクターは、 ゆっくりうなずいた。 「べつにいいでしょうが? 本当なんだから」 「そう簡単にはいかんのだ。 残念ながら、評議員連中はサンタクロースを信じていないんでね。したがって、そのう、規則からいって、 もうここにいることはできないんだよ」 「つまり、 評議員さんたちはサンタクロースなんぞいないと思ってる。 だから、わたしは、 頭がおかしい。 こういうことですか‼」 「まあ、そんなところだ」
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