【幽霊学校】

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増田さんは、見た感じしっかりとした印象を受ける。 「俺は増田凌太です。今回来たのは、自分の友達を皆さんに守っていただきたくて……」 そこまで言うと、車椅子の男性が顔を上げる。 「あ……ぼ、僕は……は、早瀬洋平……です。よ、よろしく……です」 「洋平は人見知りが激しいんで、ほんとは俺がついててやりたいんですが、俺も左手が使えません」 増田さんは、右手で左手を指さした。 「だから、洋平の車椅子もスムーズに押してやれないんです」 悔しそうに、右手を握りしめる増田さん。 「い、いいよ!増田君。僕、ここの人達にお願いするから……」 そう言うと、早瀬君は杉浦さんに目を向ける。 「……お願いします……」 今にも消え入りそうな声だ。
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