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ハジは求人カタログ片手にあちこちをまわり始めた。
「結果は芳しくないな……」
ハジは公園のベンチに座りながら呟いた。
これまで、高齢や人種の問題で拒否されてきたからだ。
「ここはUCATを頼るしかないかな……では、旧知の人物を頼るとしよう」
尊秋多学院 衣笠書庫
「やあ、ジークフリート君」
「ハジか……なんのようだ?」
ジークフリートは僅かながら警戒の色を見せていた。
「私の娘がここの編入試験を受けるんだが……
私が職業欄に無職と書かれたくないそうでな……
ここで働かせてくれないだろうか?」
「君の気持ちは分かるが助手は間に合っていてね」
「ジークフリート、この本はどこに置けばいいの?」
「あぁ、ナインか……
それはあそこの棚だ」
ブレンヒルトはジークフリートの体に阻まれハジには気が付かなかったが
「あれ?なんでここにいるの?」
黒猫が疑問の声をあげる。
「ここで働かせて貰おうと思ってね」
「無理だと思うよ。
ジークフリート、ブレンヒルトと僕がここにいるからね」
「あんたってやつは働きなさい!」
ゴスッ バタッ
「ブ、ブレンヒルト何も辞書の角で殴らなくても……」
「安心しなさい。
辞書じゃないわ」
「でも、その重さは……」
「辞書じゃなくて【六法全書】よ」
「ブレンヒルト、重さは変わらないよ
グッ、踵で腹をグリグリしなくても……」
「猫に人権ないからいいのよ
……なんであんたがここに?」
ハジはブレンヒルトの質問には答えず苦笑を浮かべた。
「どうやらここで働くのは無理のようだな
次を当たろう。」
ハジが扉に向かって歩き出すとジークフリートが後ろから
「ハジ、愛娘のことをよーく理解してくれる男を君に紹介しよう」
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