第一章・消える銃弾

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この中学校の校舎の裏手には、ゴミ焼却場があった。 文化祭などの行事がなければ殆ど使われない場所だ。 普段そこは、授業を抜け出してサボる生徒やタバコを吸う生徒のたまり場になっていた。 そこを覗き見るように、建物の陰に隠れてボクは立っていた。 胸ポケットのレンズもギョロ目になって覗いている。 そして、手にはナメクジのような銃を持っていた。 ヌルヌルとして気持ち悪いが、興奮は隠せない。 これは、人を殺す性器みたいなもんだ。 発射すれば、ボクは快楽に溺れるだろう。 幼稚園から恨んでいた男を殺すべきか? 二十分程佇んで考えていた。 こいつは一生涯誰かを虐めるようなサディストだ。 教育とか家庭環境の問題ではない。生まれ持っての性格なんだ。 そのうち人を殺すような犯罪者になるだろう。 これは、人助けかも知れない。  
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