3408人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ
少なからずあの少女は悲しんで哀しんで。恨んで怨んで。
そう。自分達の知らない何かを
鼻孔を擽るあの花の香りが今も残っている。咲いていた花を一輪、手にして。
あの少女がいるような錯覚に陥って。酷く心が落ち着きを取り戻す。
このような感覚は久しぶりに感じた。
きっと己は
本名も知らない彼女に恋をしたのであろう………ーー
「俺が…………」
恋。
改めて自覚する。
頬に熱が籠もったのが自分にも分かった。
最初のコメントを投稿しよう!