第七章

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少なからずあの少女は悲しんで哀しんで。恨んで怨んで。 そう。自分達の知らない何かを 鼻孔を擽るあの花の香りが今も残っている。咲いていた花を一輪、手にして。 あの少女がいるような錯覚に陥って。酷く心が落ち着きを取り戻す。 このような感覚は久しぶりに感じた。 きっと己は 本名も知らない彼女に恋をしたのであろう………ーー 「俺が…………」 恋。 改めて自覚する。 頬に熱が籠もったのが自分にも分かった。  
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