バルニに暮らす少年

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砂鏡洞は村のすぐ近くにある。 そこには珍しい草や花などがあり、妙薬や薬によくつかわれる苔や薬草などもあった。だが、モンスターが現れるので村の人たちは滅多に近付かなかない。 「何度か来たことがあったけど、やっぱり怖いな…」 砂鏡洞の入り口あたりでキリエは一人呟いた。 辺りには誰もいない。当然だろう、ここにはモンスターが生息するのだから。 (でも、おじさんの頼みだからなぁ…) いつもお世話になってるし、それに……採ってくると約束した。 「約束は守らないと…」 心の中で自分に励まし、キリエは覚悟を決めると、入り口へと入って行く。       * 薄暗く、じめじめした洞窟内は、無数の穴とその隙間に流れ込む砂海でいりくんでいた。 「スナメダケはこの洞窟の奥…。なんだか迷いそうだよ…」 そういいながも洞窟の奥へと進むキリエ。 誰もいない空洞に砂の音だけが静けさを醸し出していた。       * しかし、そんなキリエの後を陰から見ていた者が。 「ふぅん。あれが…」 人陰はそう呟くとキリエの後をついていき、奥へと消えた。
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