バルニに暮らす少年

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ゴゴゴゴ… 水中から現らわした影。 それは…クジラの姿に似たモンスター… 「砂クジラぁ!?」 「グオオォォ!!!!」 低く唸り洞窟全体に響きわたる。 今にも襲いかかってきそうだった。 (砂クジラは大人しいはずなのに…どうして!?) 砂クジラの咆哮に自分の命の危機を感じたキリエは内心、怯えていた。 砂クジラはモンスターの中でも大型ではあるが、性格は大人しく―こちらが手を出さなければまずといって襲ってくるはずはないはず……だった。 「グオオォォ!!!!」 咆哮はなおも続く。 波は大きくうねり、洞窟の岩に衝撃を与えていた。 ビキビキと少しづづ削りとられていく。 ――このままでは洞窟が崩れかけない…。 (こうなったら……) 震える足を何とか押さえつけ立ち上がり、態勢を立て直した。 そしてかばんから果物ナイフを取り出し、構える。 「やるしかない!」
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