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「付き合ってください!!」
ランちゃんは俺の斜め後ろをにこにこ歩いている。
時々薔薇色のため息。
ランちゃんは、改めて恋人になった俺の耳を見つめては、はうぅとカワイイ声を出す。
・・・なんだこのシチュエーション。
俺は訊いたよ、俺と付き合うのって。
そしたらきっぱり言われたよ。
「え?先輩じゃないですよ。先輩の耳です。」
だから、今、一緒に下校しているのは、俺とランちゃんじゃなくて、俺の耳とランちゃん。
そりゃ俺だってふてくさるさ。
「あの~、俺、何すりゃいいの?」
「先輩はいつも通りで大丈夫ですよ。私、見ているだけで幸せですから。・・・ただ・・・。」
「ただ?」
「手、つなげたら、嬉しいな、なんて・・・。」
ランちゃんは上目づかい。
ランちゃんが隣で歩いている。
はにかみながら、右手で俺の左耳をつかんで。
・・・なんだこのシチュエーション。
「先輩の耳の後ろ、本当に綺麗。」
ランちゃんは笑って言った。
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