始まりの始まり

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――朝の陽射しが目に痛い。 体を起こして伸びをしてみるが、心なしか動悸が激しい気がする。昨夜遅くから勉強をしていたら、いつの間にか朝になっていた。 なんかもう暴力的なくらい素敵な朝日に灰になってしまいそうだ。 だけど眠る訳にはいかない。何故なら今日から学院は新学年として最初の学期だ。いなくなった先輩達と代わって新しい後輩達が増える。そして自分達は十五歳になる三年生、成人する年なのだ。そんな大事な年の一日目だ、遅刻する訳にはいかない。 彼女はそう決意するともそもそとベッドから這い出し、必要な物を頭の中で数えながら出かける用意を始めた。 鏡に映る学院の制服姿の自分を見て、変な所がないかチェックする。 淡い背中まである金糸の髪に海色の瞳が端麗な顔立ちを引き立てている。白いシャツに包まれた発展途上の体は、光を弾く白い肌を持ち見事な曲線を描いている。膝上のスカートから覗く足は細く無駄がない。全体的に適度に引き締まったバランスの良い体格だ。 くるくると回りながら全体を見て「よし、完璧」強く頷くと、手早く朝食を済ませて自分の名――リースレット・フォン・ルーベンシュタインと左胸の裏地に小さくも金の刺繍がされた学院のローブを羽織り外へ出た。
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