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無事に宿を見つけた四人は、この日はそのまま休み翌日に城へ赴く事にした。
そして翌朝の出発時、準備をした少年達の姿を見て、深紅の青年が呆れ口調でぼやいた。
「お前ら、昨日あんだけ言っといてその格好かよ」
彼らは学生服を纏っていた。学生という立場状、これが正式な服装になるからだ。ただ仕上がりは最高で、シワ一つない。
「そういうあんたこそ、いつもと変わらないじゃない」
リズの言う通り、彼も普段と変わらぬ黒ずくめの格好だ。チトセは口にモクをくわえ、顔を歪めて言い返す。
「いいんだよ。正装何か持ってねえし、そういう事は上の奴らに任しときゃ。俺らはただの使いっぱだしな」
その言葉に苦笑する三人と共に、軽装となった青年達は城へ向かった。
城は巨大だった。城下街同様、蜂蜜色の不思議な石を使って建てられたようで、全体像は明るい印象を受ける。しかし要所には厚い防壁があり、やはり要塞然とした外観は威圧感がある。また山を利用した地形は守り易く攻め難い。尖塔はないが見張り台は多く、兵も常駐しているようだ。
四人は長い上り坂の先ある、これまた大きな城門に辿り着いた。そこの衛兵に身分と目的を伝え、女王への謁見を願い出る。
年齢不詳のいやに綺麗な顔立ちの兵達は、こんな若者達がコーセリアからの使者である事を胡散臭そう思っていたが、トマスからの書状を見せると一人が女王へ報告に行った。
「なあ、衛兵さんよ。最近ゲヘナの森で変わった事はなかったかい?」
待ってる間、チトセが兵の一人に尋ねた。
「どういう事だ?」
「いや俺ら森の街道を通って来たんだけど、何か空気がざわついてたんだよ。何か知ってるかい?」
その発言に兵は怪訝な顔をした。
「空気がざわつくだと?何を言っているか解らんが、これといった大事は起きてない」
そうか、と私案顔になる青年に、今度は兵が尋ねた。
「魔物にでも襲われたのか?」
「いんや、街道は安全だったよ。森の奥は知らんけどね」
彼は肩を竦める。彼らの会話にいまいち着いていけなかった学生達は、城門から見渡せる街の俯瞰の絶景に見入っていた。建物が段々に建ち並び、街全体が巨人の階段の様だ。
三人を放置して衛兵と話し込んでいたチトセの元へ、取り次ぎに行った兵士が慌てて戻ってきた。
「謁見の許可が降りた。すぐに会うとおっしゃっている」
それに頷き、彼らは城内に入る。
「さあ、『闇姫』との面会だ」
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