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「それよりもレベッカや、一時的に複数の使い魔が制御を失ったと聞いたんじゃが、ソラも含まれているらしいの」
キラリン、と老人の目が光る。まだ未熟な孫をからかってやろうかという雰囲気を醸し出し始めた。
だが、そこにいるレベッカの表情は生徒に授業をする教師の時と同じように毅然と学院長と向き合っていた。
彼は何かあったことを悟り、雰囲気を一転させ学院長という厳格さを纏う。
「それについて報告が」
「聞こう」
「先程学院長がおっしゃられた通り、その時複数の使い魔が主の事を頭から忘れたと思われます」
説明を始めるレベッカ。
「私がソラと話していた時、彼女は苛立ちを感じていたと言いました。それ故、好戦的になったのだと思われます。また、後から何人か生徒達に話を聞くと、使い魔が怯えているようだったとの事です」
蘇るソラとナグモの闘いが始まりかけた時、二人とも言い知れない苛立ちを感じていたらしい。ナグモなどはつい契約したばかりの主を忘れる程に、だ。
「他使い魔の状況をミスタ・フォードと話してみると、彼の使い魔ナグモがこう言っていました」
――あれは間違いなくあの小僧のせいじゃ。主らも思ったよう、奴から魔力は感じぬ。しかし使い魔として喚ばれる者に魔力がないわけはない。その事を知識としてではなく本能で知るワシらの中で、既に多少の力のある者は苛立ちを覚え、まだ未熟な者は不安に怯えたんじゃろう。
「ミス・ルーベンシュタインの使い魔チトセのせいではあるらしいのですが、はっきりとした原因はわかってません」
「…ふむう、成る程の」
聞き終え、小さく息をつく学院長は、何かを考えているようだ。
そして教師レベッカに告げる。
「考えるのも面倒じゃから会ってみるとしようかの。近い内に連れて来てくれんか」
ちょっとダルそうな顔だった。
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