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「この子があたしの使い魔、リオンよ」
嬉々として告げるセリの腕の中には、まだ子供の獅子がいた。
体長四十センチくらいだろうか、褐色の毛並みを持ち、尾の先の毛が燃えているかのような赤銅色だ。金色の大きなくりくりとした瞳が可愛らしい。きょとんとしたような顔をしている。
思わず見入ってしまったリズは、例に漏れず可愛い物好きな女の子のようだ。
一拍の間の後、甲高い声を上げた。
「うわぁ~何この子!可愛いーっ!」
頬を染め両手を当てる。
「ね、ね、抱いていいっ?」
そうせがむ姿は普段の気丈さを保とうとしている彼女からはあまり想像しにくい程に女の子だった。
そのギャップにセリは苦笑を禁じ得ない。ほら、とリオンを渡す。
腕の中にある獅子の子供は温かく、可愛らしく、リズは顔を喜色満面に染めた。
隣では若干両頬を赤くしたファラーがじっとその様子を見ている。両手もちょっと宙にさ迷っており、積極的に行動出来ない事が見ていてもどかしい。
それに気付くと、リズは獅子の子をファラーに渡し(瞬間ファラーの顔が林檎のように真っ赤になる)、セリに向き直った。
「リオンは何の種類なの?尻尾から火属性だとは思ったけど」
ふふん、とセリは自慢気に胸を張った。その動作でたわわな胸も揺れ、やや頬が引き攣る。
「この子はね、イフリートの子供よ」
その言葉は、頭に染み込むまでに多少の時間を費やした。そして――
ガクン、とリズの顎が下がった。いや落ちたと言ってもいいくらいの勢いだ。同時に目を見開き言葉を失う。
「・・・イフリート・・・?」
それは、世界が生まれた時から世界を照らし続ける者。暖かみを持ち、時にその熱で全てを熔かす者。火の神、炎の化身と呼ばれる崇高な存在。
「今はこんなちっちゃい子供だけど、あたしが成長すれば大人の姿になるんですって」
ファラーから奪い、使い魔を誇らしげに撫でる。リオンという子イフリートも、嬉しげに喉を鳴らした。
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