第一章 アタシは誰……?

4/23
前へ
/257ページ
次へ
エリカが古城に口止めさせた理由……。 それはリサの身を安じてのことだった……。 リサを撃った張本人であるエリカがなぜ……? あの時のことを知っている者が聞けばそう思うかもしれない……。 しかし、エリカは元々リサを殺すつもりなどなかったのだった……。 あの日、ビリヤード場でリサに拳銃を向けたエリカは、リサの衝撃の“告白”を聞いている内に、次第に追い詰められていった……。 自分が愛していた男が、実の姉と淫らな肉体関係を交わしていたと聞かされ、頭の中がパニックになってしまった……。 尚且つ、目の前の相手は自分に銃口を向けている……。 全ての要素が重なり、エリカは心身躁鬱な状態に追い込まれてしまっていた。 そして、エリカは思わず引き金を弾いてしまったのだった……。 だが、その後のエリカの対応は早かった。 ビリヤード場を包囲させていた部下達に直ぐさま古城に連絡を入れさせ、自らリサを古城の自宅まで運ばせたのだ。 そしてすぐに古城に手術をさせた……。 エリカの対応が早かったからこそ、リサは一命を取り留めたと言っても過言ではなかった……。 では、なぜエリカはリサの記憶を思い出させることを止めたのか……? それはリサを危険に曝さない為だった……。 記憶を取り戻せば、リサは再び“山ピーの魔法の言葉”について調べ始めるだろう……。 しかし、それはあまりにも危険なことだった……。 それは拳銃を向けられることよりも、遥かに命を擦り減らし危険を伴うことだとエリカは判断したのだった。 それに、今街では危険な状態に陥っていた……。 渋谷の街で“山ピー”が大増殖していたのだった……。 【続く】
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加