第一章 アタシは誰……?

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街で“山ピー”が増殖している……。 そう“山ピー”と言ってもそれはリサの弟ヤマトとは全く違った異質なものだった……。 ヤマトが生前体を張って作り上げてきた数々の伝説……。 それによってこの街で“山ピー”の名前を知らない者はモグリとまで言われるほど“山ピー”の名前は知れ渡っていた。 しかし、ある時“山ピー”の名前を乗っ取った者がいた……。 その者の誰よりも深く暗い欲望によって“山ピー”の名は大きく塗り替えられ、そして“山ピーの魔法の言葉”が生まれたのだった……。 ではなぜ、“山ピー”が急に増殖を始めたのか……? それは大きく分けて二つの理由が上げられた。 その理由の一つとして、新たな文化の普及があった。 ここ最近になって“出会い系サイト”や“出会いカフェ”、“家出サイト”などの新たな“出会い”の場が急速に発展していた。 そうしたことで見ず知らずの男女が出会い、一緒に過ごす時間が多くなっていった。 それによって“山ピー”達が増殖していったのであった……。 そしてもう一つの大きな理由……。 それは現マスターの存在が大きかったといえよう……。 増殖を続ける“山ピー”達の中にはその時その時の“マスター”が存在した。 その“マスター”の意向によって街にはびこる全“山ピー”達のスタイルが決められる……。 スタイルとはすなわち“マスター”の意志……。 “マスター”が“こうしたい”という欲望を抱けば抱くほど、他の“山ピー”達もそれに便乗した欲望を持ち、行動するようになるのだ……。 しかし、“マスター”は頻繁に入れ代わる……。 現“マスター”が死ねば、それは次の者に引き継がれ、その者が次の“マスター”となる……。 そして“山ピー”の生命は短い……。 それはその者の欲望が強ければ強いほど、短命となる……。 これがこれまでエリカが独自に調べあげた“山ピー”に関するレポートだった……。 【続く】
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