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記憶を失ったリサと、独自に“山ピーの魔法の言葉”について調査を進めているエリカ……。
一見食い違って見える二人だったが、その根本的な動機は同じだった。
それは最愛の者の命を奪った“山ピーの魔法の言葉”の真相を確かめることだった……。
その真相を確かめ、ヤマトの無念を晴らす為に二人の女達は生きていた……。
エリカがリサを軟禁し、記憶を封印させていたのにはもう一つ理由があった。
それはもし、自分の身に何かが起きた場合、最後の切り札としてリサを生かしておかなければならないと考えていたのだった……。
一時は感情的になりリサに銃口を向けたエリカだったが、第一にしなければならないことは分かっていた。
それは“山ピーの魔法の言葉”の秘密を暴く意志を絶やさないこと。
もし、自分が死んだとしてもリサが生きている限りその火は決して消えることはない……。
リサさえ生きていればヤマトを想う気持ちがなくなることはないとエリカは思っていた。
しかし、この街のボス桐生龍治の娘であるエリカほどの人物がこれほど危険視するのはなぜか……?
それは“山ピーの魔法の言葉”の裏に隠された得体の知れない“何か”が自分達の持つ“暴力”で太刀打ちできない恐れがあるからだった……。
エリカは自分の持つ“暴力”や“武力”にかけて絶対の自信を持っていた。
しかし、“山ピーの魔法の言葉”について探っていく内に自分達の“暴力”が通用しない次元にあるような気がしてならなかったのだ……。
それは権力的力や、国際的暴力が絡んでいて太刀打ちできないというわけではなかった……。
“山ピーの魔法の言葉”の裏には何かオカルト的な超常現象のようなものが隠されているような気がしてならなかった……。
いくらエリカが常人離れした“暴力”を持っていたとしても化学では解明できないような不思議な力に太刀打ちできるかどうかは分からなかったのだ……。
【続く】
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