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その日の夜、リサは古城の家の自分のベッドの中で再びあの夢を見た……。
リサの目の前に一人の男が立っていた……。
その男はリサよりも年下で、リサもよく知っている人物のように思えた。
「またあなたなの……?」
リサがその男に話し掛けると、その男はニッコリと微笑みながら答えた。
「そうだよ。僕はここでしか君と話せないからね……」
男の言葉を聞いてリサは少し悲しくなった。
なぜだろう……?
それはこの男がすでに死んでいたからだった……。
だけど、リサはどうしてもその男の名前を思いだせなかった……。
「ねぇ、教えて……。あなたは一体誰なの……?」
リサの問い掛けに男は笑顔を絶やさずに答えた。
「君は何度も同じことを聞くんだね……。僕は何回も君に教えてあげたのに、君はすぐに忘れてしまうんだから……」
そう言われても、やはりリサには、この男が誰なのか分からなかった。
「……ダメだ。思い出せないよ……。お願いもう一回教えて。今度は絶対に忘れないようにするから……」
真剣なリサに対して、男はくすくすと笑いながら言った。
「そんなこと言ったって、どうせ君はまた忘れちゃうよ……。でも、まぁいいか。教えてあげるよ……。僕は君のことが大好きだからね……」
リサは真剣に男を見つめながら話を聞いていた。
「いいかい。僕の名前は……」
「!!?」
そこでリサは目を覚まし、ベッドの上で起き上がった。
全身には鳥肌が立ち、冷や汗で下着までぐっちょりと濡らしていた……。
リサはバスルームに行き、顔を洗い、コップに水を注ぎ喉に流し込んだ……。
何かとても怖い夢を見たような気がしたが、内容は覚えていなかった。
一体あの夢は何だったんだろたう?
そんなことを思いながらリサが目の前の鏡を見た瞬間、リサは背筋が凍り付くような感覚にとらわれた……。
鏡に映った自分の後ろに見知らぬ男が立っていたのだった……。
【続く】
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