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「キャー!!!」
鏡に映った見ず知らずの男の姿を見て、リサは悲鳴を上げて振り返った。
しかし、リサが振り返るとそこには誰の姿もなかった……。
「リサ、どうしたんだ?開けるぞ!」
ガンガンとドアを叩き、寝間着姿の古城が部屋の中に入ってきた。
青ざめた顔つきでパニクっているリサに、古城は駆け寄って肩を抱いた。
「……リサ、一体どうしたんだ?」
放心状態のリサはしばらく古城の問い掛けに答えることができなかったが、しばらくしてようやく口を開いた……。
「……だっ誰かが部屋の中にいたの……。見たこともない男がアタシの後ろに立ってたの……」
リサはわなわなと震えながら言った。
リサの眼は焦点が定まっていなかった。
よほど怖い思いをしたに違いない……。
リサを抱き寄せながら古城はそう思った。
「リサ、落ち着け。大丈夫、ここには誰もいないよ。お前と私だけだ……」
古城に抱きしめられて、リサはようやく落ち着きを取り戻していった。
古城はリサをベッドの上に座らせると、下から温かいココアを持ってきてくれた。
「飲みなさい。落ち着くぞ……」
古城に言われた通りココアを飲んだリサは落ち着きを取り戻し、やがて睡魔に襲われた。
古城がリサに飲ませたココアの中には睡眠薬が入っていた。
睡眠薬のおかげでリサはその晩悪夢に襲われることもなくグッスリと眠った。
リサが寝静まったのを見て、古城はエリカに電話を掛けた。
「夜分晩くに申し訳ありません。実は少々お耳に入れておきたいことがありまして……」
古城はエリカにコトの一部始終を話した後、最後にこう付け加えた。
「彼女をこのままの状態にしておいて本当によろしいのですか?」
古城の話を聞き、エリカが出した答えは“少し考える”、“現状維持”というものだった……。
だが、古城の心配を余所に、この後リサの身に危険が降り懸かろうとしていた……。
【続く】
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