僕の家系は昔『死神』と呼ばれるものだったらしい。

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キーンコーンカーンコーン 学校のチャイムが鳴り響く。 今日は肌寒い日だった。 「はぁっはぁっはぁっ……」 『叉牙拿(さがだ)中学校』 校門に彫られたその文字を見ながら、僕はそのチャイムを聞いた。 二つの牙を持つ獣を捕えた、という意味の地名から付いた学校名だ。 切れた息を整えながら校門を過ぎる。 「はぁ………今日も結局、間に合わなかった。」 呟きながら靴を履き変える。 「わざわざ走ったのに……」 と文句をたれながら。 遅刻の常習犯な僕は、もう諦め半分で階段をゆっくり上り、教室の扉をひいた。  
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