僕の家系は昔『死神』と呼ばれるものだったらしい。

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窓際の1番後ろの席。 それが僕の席だ。 寝てても中々つっこまれない、とてもいい席。 カタンッ 小さく音を鳴らしつつ、席に座った。 と、隣から 「今日もご苦労さん。」 友達の結城が声を掛けてきた。 軽く笑いを堪えつつ、だ。 一年の時、中学初めての友達で今年も同じクラス。中肉中背で、多分どちらかというとカッコイイはず。性格は笑い上戸、だけどいい奴。毎日、先生と僕の会話を笑いながら見ている一人。 「しっかし、この問答はいつ見ても面白いな。」 先生の授業を無視して、いつも通りに喋り始める。 「そうか?俺の内申がただただ下がってくだけだろ。」 真面目に答える僕も僕だが……。 ちなみに、喋る時の一人称まで僕にする程マイナーな人間ではない。 「分かってんなら止めればいいのに。」 自分の言った事なのに、また上戸に入りかける結城。 そんな結城に、 「遅れるのと問答、どっち?」 と聞くと 「どっちも。」 と言われた。 「どっちも出来るならやってる。」 身も蓋も無い答えで返すと 「お前はそういう所がいい。」 半笑いで褒められた。 「別に嬉しくはないな。」 未だ半笑いな結城を一瞥し、 「お前も授業聞いとかないと、また赤点だぞ。」 痛い所を突いておいた。 すると、露骨に嫌そうな顔をして 「そういう所は嫌いだよっ、優等生君っ!」 芝居がかった口調で言ってきた。 「赤点とらないだけだよ。」 さらっと受け流し、黒板を見遣った。  
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