9人が本棚に入れています
本棚に追加
窓際の1番後ろの席。
それが僕の席だ。
寝てても中々つっこまれない、とてもいい席。
カタンッ
小さく音を鳴らしつつ、席に座った。
と、隣から
「今日もご苦労さん。」
友達の結城が声を掛けてきた。
軽く笑いを堪えつつ、だ。
一年の時、中学初めての友達で今年も同じクラス。中肉中背で、多分どちらかというとカッコイイはず。性格は笑い上戸、だけどいい奴。毎日、先生と僕の会話を笑いながら見ている一人。
「しっかし、この問答はいつ見ても面白いな。」
先生の授業を無視して、いつも通りに喋り始める。
「そうか?俺の内申がただただ下がってくだけだろ。」
真面目に答える僕も僕だが……。
ちなみに、喋る時の一人称まで僕にする程マイナーな人間ではない。
「分かってんなら止めればいいのに。」
自分の言った事なのに、また上戸に入りかける結城。
そんな結城に、
「遅れるのと問答、どっち?」
と聞くと
「どっちも。」
と言われた。
「どっちも出来るならやってる。」
身も蓋も無い答えで返すと
「お前はそういう所がいい。」
半笑いで褒められた。
「別に嬉しくはないな。」
未だ半笑いな結城を一瞥し、
「お前も授業聞いとかないと、また赤点だぞ。」
痛い所を突いておいた。
すると、露骨に嫌そうな顔をして
「そういう所は嫌いだよっ、優等生君っ!」
芝居がかった口調で言ってきた。
「赤点とらないだけだよ。」
さらっと受け流し、黒板を見遣った。
最初のコメントを投稿しよう!