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俺は騒がしいのが苦手だ。
特に飲み屋とか酔っ払い共がうるさいところは本来なら近づきたくない。
だから飲み会など無縁だと思っていた。
それが今、どうしてこんなことになっているのだろうか。
「――今日は楽しんで行きましょう! 乾杯!」
「かんぱ~い!」
乾杯の音頭と同時に楽しそうな声が耳に入る。
俺は友人たちに挟まれており、目の前には顔なじみのない女が3人。
どうやらこれが世の言う「合同コンパ」らしい。
「悟も乾杯!」
俺は幹事の種岡を睨みながら無言でコップをぶつけた。
しっかりとスタイリングした茶色に染めた髪はいかにも大学生らしく、こういった遊びの仕切りも慣れているようだった。
大学に入学して二ヶ月経とうとしているが、学校や新しい街にはだいぶ慣れたといっても、こういった遊びとは今まで縁がなく、知り合いだってまだ彼と隣に座っている統吾しかいない。
そんな種岡が「一緒に飯食べに行こう」と言うから行ったものの、どういう訳かこの合コンに参加する羽目になった。
どうせ、俺に「合コンへ行こう」と言っても来るはずがないと思ったのだろう。
そうだとしても、一緒に誘われた統吾にはちゃんと「合コンに行く」と伝えているのは、なんとも言えない苛立ちが込み上げてくる。
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