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その時俺は確信した。
中学の夏休み明けに、刀也がやたらと騒いでいた「すっげー強い奴」
あれはさとりんだ。
あのか時の俺はやたらと落ち着いていた。
「それなら、これから会いに行こうか」
きっと、さとりんを巡り会わせてくれたのは刀也なのではないかと、あの時ちょっとだけ思ったのだ。
鈍感なさとりんはそんな俺の心情なんて気にしていなかったと思うけど。
俺はさとりんを一度我が家に連れて帰り、バイクの後ろに乗せた。
そして、この場所へ連れてきたんだ。
びっくりしただろうなさとりん。
「嘘だろ…」
消えそうな声で呟きながら、刀也を見つめた。
正確に言えば、刀也のお墓を。
「刀也、死んだんだ…1年前の今日」
口にするとその現実味がジワジワと増していく。
いきなりこれだから、さとりんもさぞ驚いただろう。
ごめんなさとりん。
刀也も一緒に剣道したかったよな。
「刀也が死んだ日…俺もいたんだ」
もう1年経つのに、あの日のことは昨日のことのように想起できる。
――あの時、刀也の家で猫を飼い始めた。
俺はその猫を見るために、制服のまま刀也の家に寄った。
刀也の家に行くには大きな交差点を通る必要がある。
俺はその道路が嫌いだった。その交差点はやたらと交通事故が多いのだ。
だからか知らないが、俺にはどうしようもできないような地縛霊がそこに住み着いていた。
あの時も思い出したくないような嫌な者が見えてしまって、俺のテンションはだだ下がりだったのだろう。
「どうした? 変なもの視たか?」
気を使わせた刀也が俺の顔色を窺った。
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