高爪統吾と柄沢悟

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◆ ◆ ◆ 最近知ったのだが、大学生の春休みって物凄く長い! センター試験や入学試験があるからだろうが、2月にも入ると学校は休みになってしまうのだ。 正月も過ぎればあっという間にテスト期間だし、それが終わればもう春休み。 しかも、後期の課題がレポートばかりだった俺ら人文学科はテストが極端に少ない。 なので他学部がテストでも、レポートを出してしまえば俺達はもう1月後半から春休みなのだ。 むしろ“春”ですらないのに誰もツッコミをいれないのが不思議でならない。 そういうこともあってか、俺たちは久々に街へ買い物に出掛けた。 楽しく買い物して、途中であすなちゃん行きつけのお洒落な喫茶店でお茶して… なんて素敵なデートコースだろうか。 これが野郎3人でなかったらもっとよかったのに。 だがしかし、俺たちが休みでも美波ちゃんたちや旭はまだテスト期間だからしょうがないと言えばしょうがない。 それに、3人でどうしても行きたいところもあった。 いつだか大橋先輩に連れ出されたあの心霊スポットを覚えているだろうか。 さとりんと喧嘩したため、俺と種岡だけで乗り込んだあの廃墟だ。 どうやら、あの廃墟が老朽化が原因で来春取り壊されるらしいのだ。 俺はどうしても気になって再びあの廃墟へとやってきた。 業者の人が状況を見ているのか、作業着を着たオッサンが家の周りをうろちょろしているのが見える。 そして、入り口の前には真新しい看板が立てられ、細かい字で工事の計画が書かれていた。 「ああ…本当に壊されるみたいだな」 積雪で今にも潰れそうな屋根を見つめながら、種岡が呟いた。
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