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そんな統吾の自己紹介は俺とは打って変わっていた。
「高爪統吾でーす。絹子川学院大学の文学部で、特技は花のアレンジメントで趣味はギター弾くことでーす」
ここまでは一般的だろう。
ただ、そこから足の大きさからスリーサイズまでベラベラと喋り続けるのはなんなのだ。
その様子に女たちが引いているのを感じて俺は彼の橙色の頭を軽く叩いた。
そもそもなんでお前は自分のスリーサイズなんて知っているのだ。
「いって~。何するんだよ、さとりん」
「誰がさとりんだ」
俺はもう一度その頭を叩いた。
初対面の人にその呼び名で呼ばれるとみんなその名前で呼んでしまう。
それだけはどうしても避けたい。
そう思った矢先だ。
「それじゃ、統吾君もさとりん君も亮太と大学一緒なんだね」
斜め向かえに座る小柄でショートヘアの女が言ってきた。
言わんこっちゃない、もう広がりやがった。
「柄沢でいいです」
すかさずフォローを入れる。
だが、それも虚しくも女に遮られた。
「ほら、あたしと美波と大学一緒だって」
しかもこの女、俺の話を無視して、隣の髪の長い奴と話してやがる。
俺の怒りのボルテージが上がったのに気づいたのか、種岡が「まあまあ」と俺をあやした。
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