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ここから先は俺の記憶がないので後日談となる。
コンビニの前で全てを吐き捨てた俺は、言うまでもなく動けなくなった。
戸田と風間は慌てて水を買いにいき、竹中はふらふらな俺を受け止めてそのまま介抱した。
3人も今までの恐怖などぶっ飛んだそうだから、ある意味感謝していると言われた。
彼らは嘔吐が落ち着いた俺を車に寝かせ、近くのカラオケボックスに連れられた。
だが、カラオケに行っても、誰も歌おうとは思わなかった。
かといって、俺のように眠りにつくこともない。
みんな、一人が怖く、ただ無心になって朝が来るのを待った。
これだけの沈黙だなんて、その場にいたらきっと地獄だっただろう。
でも、各々これまでの出来事を整理し、そして受け止めるには必要な沈黙だったのだろう。
「なあ、みんな…」
口を開いたのは戸田だった。
「朝が来たら…お祓い行こう」
その意見は満場一致で賛成らしい。
だが、俺は体調不良で全く動けなかったのでお祓いに行けなかった。
吐き気、頭痛、関節痛、気怠さ。
それらが一変に俺を襲った。
なので、あいつらは3人で近くの神社までお祓いしに行ったらしい。
「ーーそれで、君は今日ここに来たわけですね」
話を聞き終えたさとりんのお父さんは深く息を吐いた。
あれから2日後。
俺はこうしてさとりんの家…いや、"大榛寺の本堂"に来ている。
「次世から聞いてますよ。随分無茶しましたね」
「あはは…それほどでも」
「褒めてません。で、他のお三方はあれからどうお過ごしで?」
「まあ、神主の爺ちゃんにはえらく叱られたらしいけど…なんとかなったみたい」
「それはそうですよ。私ももし君が自分の息子なら坐禅でも組ませて反省させるところです」
さとりんのお父さんは笑っていたが、内心は怒っていることは容易に想像ついた。
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