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創一は俺の幼なじみだ。
いや、腐れ縁のほうが正しいだろう。
こいつとの長い付き合いの話すには、まずはこの村の事情から話さなければならない。
滝峰村は人口2000人もいない小さな村だ。
かろうじて小学校と中学校は成り立っているが、言うまでもなくひと学年の人数は少ない。
それに、こんな山奥だ。
下手に面積だけが広いものだから、一つの学校だと遠すぎて通えない児童がでてくる。
そんな訳で小学校だけは2つに分かれていた。
酪農や農家を営む山奥に住む村民の子供たちが通う"参流小学校"
そして山の麓に住む子供たちが通う"滝峰小学校"
俺たちの母校にあたる。
ただでさえ人口が少ないのに小学校は2つに分かれるということは、全校児童の数が極端に少なくなるということ。
クラス? 3クラスだ。
勿論、ひと学年ではない。
1・2年生、3・4年生、5・6年生の複式学級という奴だ。
このご時世に凄いものだろうが、これが田舎の現実だ。
余談だが隣の学校は人数が少なすぎて入学式と卒業式行われない年があった。
少子化どうこうの騒ぎではない。
ちなみに、俺たちの同級生は6人。
男は俺と創一のみだ。
女ばかりの世界だったから、共に肩身狭い思いをしていた。
もしかすると、俺が女が苦手なのはこの幼少期の出来事が原因かもしれない。
だが、中学校だと参流小学校の連中も増えるのでだいぶマシになった。
それに、莉樹のような転校生もいたのでクラスメイトは15人前後だったと思う。
それでも人数が少ないのは変わらないので案の定、中学校も3年間同じクラスである。
つまりは、俺と創一は義務教育の9年間ずっと同じ空間で過ごしていたこととなる。
これだけ同じ時を過ごしていたのだ。
せめて高校は違う景色を見たかった。
しかし、こんな田舎では家から通えるところは少なく、運悪くも進学した高校も同じだった。
そして、どんな運命か高校まで全部同じクラスだったのだ。
トータルで12年。
種岡と矢尾もびっくりな腐れ縁具合である。
仏の悪戯というのなら、その仏をぶん殴ってやりたい。
しかし、流石に大学までは進路は違った。
俺は家の都合もあり、絹子川に引っ越したし、こいつも家を出て違う大学に通っている。
だから、こうして会うのは2年ぶりであった。
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