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実習2日目。
俺たちは子供たちも共に公民館の隣の公園にいた。
こんな時、俺は統吾がとてつも無く羨ましく感じた。
「がおー! 妖怪だぞー!」
統吾は五本指を広げ、爪を立てるような仕草をし、砂場のど真ん中で吠える。
それをまるで鬼ごっこの鬼のようにして低学年の子供たちを追いかけ回した。
子供たちはきゃっきゃと笑いながら統吾から逃げて行く。
勇敢な子供は統吾に向かっていくが、すぐに統吾に捕まり、腰を掴まれてぐるぐる回されてした。
とにかく、あいつは子供たちに大人気だった。
ちなみに、俺にもなんであいつの演じる妖怪が獣のように吠えているかはわからない。
が、子供たちも楽しそうなのでよしとする。
統吾の強みはこれだけでない。
あいつはギターが弾けるので、公民館においてあったアコースティックギターで子供に人気のアニメの曲を弾き語っていた。
歌も上手いので、子供たちに大受けだ。
あいつは初日から子供たちのハートを鷲掴みしていたのだ。
「まあ、統吾は児童たちと精神年齢がタメだからな」
悟はそんな統吾を見てしみじみとと言う。
が、俺は悟がこの実習になじんでいるのが想定外だった。
悟は俺と同じ子供が苦手な類いだと思っていたからだ。
悟は統吾とは違い、大人しい子供たちの世話をしていた。
公民館に寄贈されていたお手玉やけん玉を教えたり、トランプで遊んだりと少人数でのインドアな遊びに手慣れていた。
彼曰く、田舎で全校児童が少なかったので校内で遊ぶものも限られていたらしい。
だから仕方なく上記のようなもので遊んでいたらしい。
それが今、こんなところで生きているという。
今日の悟たちは敷地内にあるすすきやモミジを拾って大きな画用紙に貼り、みんなで絵を描いていた。
悟は悟で子供たちの面倒見がとてもいい。
普段人見知りの激しい内気な子供も、楽しそうに作品に取りかかっていた。
「やるなー、悟」
感心するように彼に声かけると、悟は表情も変えずに言い切った。
「うちにでかい子供がいるからな」
その時、俺の脳裏に屈託のない笑みを浮かべた彼の弟の顔が過ったのは言うまでもない。
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