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相手が私を見て
私も相手を見ました。
そう
電車の中での時のように
恐らく障子越しの影は
黒い着物を着た女の子なのでしょう
実際には見ていなくとも
感覚がそう言っていました。
障子越しの影は
ゆっくりと首を傾げ…
いえ
そのまま首が堕ちて行きました。
音こそしなかったものの
ぽたり、と堕ちました。
一気に障子が開きました。
日本人形がいっせいに揺れ
まるで笑い声のように
かたかたかた、と
鳴っていました。
障子の向こうには…
綺麗な夜空が有り、人影は有りませんでした。
こんな時でも
千紗都は死んだように眠り、起きようとはしませんでした。
私は衝動に駆り立てられるように
立ち上がり、千紗都を跨ぎ
廊下へ出ました―……
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