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夕方になりました。
外には祖母が亡くなった時と違い、赤い海が景色を飲み込んでいました。
広間にも、数える程しか残っていませんでした。
私の母も片付けをしていて
とても私に構ってくれるような状況では有りませんでした。
私は一人、昼間座っていた廊下に座って
赤い海を眺めて居ました。
すると
昼間の女の子…千紗都が隣に腰を下ろし、独り事のように喋り始めました。
『今日亡くなったお婆ちゃまが言ってたの』
『鬼が来ても返事をしちゃいけないって』
『鬼は返事をさせるように仕向けて来るけど』
『返事したら殺されるって』
その話なら、私もお婆ちゃまに聴いていました。
だから夜…十二時を過て、鬼が来て、鬼に名前を呼ばれても
返事をしてはいけないそうです。
返事をすると
殺されるらしい
もっとも昔話の類
気に止めていたらきりがないのですが
『黒い着物の女の子は』
『迎えに来るんだよ』
『絶対』
そう言い残すと、千紗都は何処かへ行ってしまった。
脅しだったのかもしれないけれど
私はどうしていいのか解らずに
途方に暮れて居ました…
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