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兵「前線の朝比奈隊撤退!」
兵「酒井隊、後退す!」
兵「敵、伏兵!
大久保隊 苦戦!
援護を・・!」
兵「岡部隊、被害甚大!」
兵たちの情報が次々と
報告されていたようだが、
もう、私の頭の中は
真っ白になっていた・・
助六「しっかり
なさいませ!」
気がつくと
助六が私を揺すっていた。
やがて、
私の頬に痛みが走る。
すぐに助六が平手打ちを
したのだと把握・・と、
同時に正気を取り戻す。
負けか・・
「全軍、撤退!
しんがりは本多忠勝!」
と、言った直後
ドドドドと本陣に
敵が流れ込む。
護衛兵が敵に
切り込みながら叫ぶ。
兵「姫様は逃げなされ!
今川は姫様無くしては
再興できもうさん!」
その兵士は、
何十人もの織田兵に
身を突き刺され
鮮血を噴出させながらも、
刀を振り回し、
食い止めていた。
名も知らぬ兵よ・・
すまん・・
私は、愛馬に飛び乗ると
一心不乱に
逃げの手綱を繰り返す。
走れ! もっと早く走れ!
雪見葦毛!
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