第十五章 織田の反撃

6/8
前へ
/1370ページ
次へ
しかし、敵の一隊が 私の前に躍り出て囲む。 が、すぐさま 本多忠勝が 救助に駆けつける。 忠勝が槍を一振りすると、 敵兵2、3人 その場に どっと倒れゆく。 忠勝「姫、  それがしの後ろへ・・」 兵に囲まれ 退避出来なかった私は 忠勝を盾にする。 囲む敵の中から、 大将らしき者が出てきて こう告げた。 恒興「わしは池田恒興じゃ  そろそろ首級を挙げぬと  家族を養えぬのでな・・  今川の姫君、  覚悟めされい・・」 こいつが犬山城 城主、 池田恒興か・・ 私は忠勝に『行け』と 指で合図すると 忠勝は頷き、 こう口上を切り突撃する。 忠勝「覚悟するのは  お主のほうじゃ!  それがしの名は  本多忠勝、  とんぼ切りの錆びとして  くれるわ!」 とんぼ切りとは 忠勝の愛用する槍のことで ある。 忠勝は敵兵に飛び込むと それはまるで竜巻のように 舞う、舞う、舞う。 その舞が起こるたび、 敵の悲鳴と唸りと ともに 地面に 倒れいく織田の兵たち。 鬼気迫る その戦いぶりは 味方であるはずの私でさえ 恐怖し、近寄れない。
/1370ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71108人が本棚に入れています
本棚に追加