第十六章 逃避行

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しばらく、馬で駆けると 何人かの武装した 農民が私の前に 立ちはだかる。 その顔から尋常では無いと 悟った。 何か・・マズイぞ。 農民「今川の姫君を、 信長様に差し出せば 遊んで暮らせるんじゃ!」 落武者狩り・・と、 把握。 しかし、こちらにも 連れの兵はいるぞ! 「わらわを誰と心得る!  頭が高い控えよ!  わらわは駿府の富士にて  魑魅魍魎の狐に育てられし  狐の姫巫女なるぞ!  お主らなんぞ  たちまち、食ろうて  末代まで祟ってやるわ!」 と、まずは一喝し 相手に脅しをかける。 滅茶苦茶 言っているようだが、 実は戦国時代の 農民というのは学が無い。 魑魅魍魎の類いには 過敏に恐怖するのである。 農民「どうするんじゃ?」 農民「駿府の富士の  狐の姫巫女だ  そうじゃ・・」 農民「あの女狐なら  ありうる・・」 農民は 少しだけビビった ようだったが、 意を決したのか 鎌やクワをこちらに向ける。 数は農民の方が多いが 所詮は烏合の集。 「者共、かかれ!」 農民たちと我が兵の 激突がはじまる。 初めから、勝負は 見えている・・ 散々脅しておいて、 なお こちらは訓練された 正規兵。 私は、どうせ勝つだろうと 余裕をぶっこいて  手鏡を出し、 白粉を塗り始める。 白粉とは 「おしろい」である。 現代でいう、 ファンデーション、 ベースメイク品である。
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