第四章 女狐とタヌキ

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やがて、朝比奈が見えた。 逆を向いて立ち往生? 何をやっている・・ 「父上・・いや、朝比奈殿  全軍退却命令ですぞ!」 朝比奈「さらに、森城から 5000の援軍が 来ているという、 報告を得た。 退却も無事では済まぬ。 ここは それがしに任せよ。 誰かが しんがりを 務めねばなるまい。 由美殿は行かれよ・・」 全てを決意した 男の顔だった。 それは戦国時代に生まれし 武家の魂を背負う者の 顔だった。 「朝比奈殿・・」 朝比奈「達者でな・・ 生きていたら、 また酒でも飲もう」 「父上!」 彼はこちらを振り返り ニヤリと笑みをこぼすと 数百人ほどの兵と ともに 追手の敵軍に突っ込む。 彼の叫び声がこだまする。 朝比奈「やあやあ我こそは 左京亮、備中守 朝比奈泰朝じゃ! 命惜しいものは 即刻、立ち去れい!」 すまぬ・・父上・・ 私は溢れ出る涙を 拭きとる暇も無く 馬に鞭を入れ、走り出した。 くそう・・ これが戦国時代か!
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