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    ……虚ろに目を開ける。   無理矢理にこじ開けた 瞳に   光など宿る訳などない。     世界の光などもう とうに僕の前からいなくなってしまったのだから。     昼間の薄暗い部屋に 気持ちの良い  清々しい風が僕を撫でた。     それでさえ 今の僕には   心締め付けるものを感じる…     涙が………     とまらないんだ。       君とはこの世でいたいんだ……。 あっちでなんかじゃないんだよ?     そう言って… 君を追い掛ける 決意も持てない     そんな僕を きっと君は   笑顔で 綺麗に笑って   こっち来ないで。   ……と、言うのだろうね。     …………嘘だよ。 本当の真実なんて誰も知らないんだ…。   君はいないんだ。 所詮これも…  僕の作った都合の良い君。       ただ……でも一つだけ 確信のあることが…あったんだ。       それは  僕らの 一輪挿しの花のよう 愛の姿。     〈完〉
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