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……のはずなのに何これ?
多分、夢よね。
淡い黄色やピンクの霧が辺りに漂っている。
……昔の夢を見なくなったと思ったら、ファンタジーな夢?
ってゆーか、夢なのに意識がここまでハッキリなのはムカつくわね。
夢が覚めるのを待つのもなんだか負けた気がする。
とりあえず、前に進んでみる。
ふわふわと不安定な感じ。
「如月……華音さんですよね?」
ふと、名前を呼ばれて、周りを見回したが誰もいない。
……夢で空耳?
「……あの、こっちです」
黄緑の光が私の周りを飛んでいる。
もしかして、声はここからなのかしら?
光の中から出てきたのは羽根の生えた小さな女の子。
15㎝ぐらいの妖精。
……ますますファンタジーだわ。
「……あの、華音さん?」
「なにかしら?」
なんで、妖精が私の名前を知っているとか気になるけど、夢だからって事なんでしょ?
ほんと、面倒だわ。
「……どうか、私たちの世界を助けて下さいっ!!」
「嫌よ」
「ええぇっ!?」
私が即答すると、妖精が大声を出した。
……ちょっとうるさいわよ。
「な、なんでなんですか!?」
「いちいち大声出さないでくれない?うるさいわ」
「ご、ごめんなさいぃ~」
妖精が縮こまる。
だけど、私は気にしない。
「なんで嫌なのかって話よね?これが夢だからよ」
夢なのになんでこんな話しなくちゃいけないのかしら?
「あうぅ~……た、確かにここは貴女の夢です。だ、だけど、これは現実でもあるのです」
訳がわからない。
「何言ってるの?」
「で、ですから……」
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