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「頼んだぞ」
「はぁい」
元気よく返事をして外へ出て行く征紀の後姿を、宥志は一瞬だけ上げた視線で捉えた。
---ここまでは、予定通りか…。
このまま何事もなく終わってくれれば、俺も気が楽なんだけどな。
合宿とはいえ、何も全校生徒で来ることはあるまいと宥志は思うが、半ば伝統となりつつある統稜の習慣は、生徒会会長の絶大な権力を以ってしても変えられない。
---まったく、そのくせ問題が起きたら俺たちの責任だとか言うんだから、教師連中も気楽なもんだぜ。
内心毒づきながら、宥志は今後のスケジュールをチェックした。
取り敢えずの雑務は征紀に任せておけば、問題はない。
そうでなくとも、統稜の今期生徒会メンバーは有能な生徒が揃っているのだ。
小柄な見た目に似合わず滅法喧嘩が強く、勉強でも常にトップをキープしている、文武両道を絵に描いたような生徒会会長の御神宥志(みかみゆうし)。
少々遊び人的な雰囲気が漂いつつも、見た目だけならモデルか俳優と見紛う容姿に、案外面倒見の良い副会長の久我征紀(くがまさのり)。
華奢な体型と柔らかな雰囲気に、おっとりとした性格で生徒の視線を釘付けにする書記の牧野一実(まきのかずみ)は、前年度から生徒会に籍を置いている。
そこに、高校運動部界の推薦枠を総ナメにしておきながら、恋人の為だけに統稜に入学したと明言する一年の志乃貴火(しのたかひ)を会計に加え、今期生徒会幹部は歴代の生徒会の中でも最強(最凶?)と噂されていた。
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