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「おや? 御神君は我が校の校風をお忘れですか?
我が校は、完全生徒主体。
教師の責任者を当てにするのは間違いです」
「あ--はいはい。
分かってるって。
だけど、ここは校内じゃないんだぜ?
先方への挨拶に生徒だけってのは、相手に失礼なんじゃねぇの?
時と場合を弁えて行動しろって言ってんのは、何処の誰だよ?」
あまりにも勝手な桜井の台詞に、ここぞとばかりに宥志はまくし立てる。
さすがにこれには桜井も反論を諦めたのか、苦笑を漏らして頷くと、素直に宥志に従った。
桜井が宥志と共に歩き出したのをきっかけに、他の教師たちも行動を開始するようだ。
征紀率いる生徒たちが向かっている入り口とは逆の方向に宥志が歩き出すと、桜井だけでなく他の教師たちもぞろぞろと後に倣った。
生徒に引率される教師と言うのも何だか滑稽だが、教師の方は何とも思っていないようだ。
だが、宥志にとっては違った。
呆れたようにため息をひとつ零して立ち止まると、くるりと後を振り返る。
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