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「先生たちも、いい加減にしろよ。
正面玄関はあっち!
俺たちは挨拶があるから裏口使うだけだから、ついて来なくて結構」
宥志は、征紀ら生徒が向かっている方向をビシッと指差すと、教師たちを追い払った。
言われた通り正面玄関へと向かっていく教師たちの背中を見遣り宥志がため息を吐いていると、隣から笑い声が聞こえてきた。
「ふふ…。
生徒会長も楽ではありませんね」
桜井に労をねぎらわれたことで、宥志は余計に苛立ちを募らせる。
「まったく、どうしてウチの教師はろくでもない人間ばかりなんだ?
面倒嫌いにも程があるだろうよ」
苛立ちを桜井にぶつけたところで、どうなるものでもないのだが、これからの五日間、六百余名を超す生徒全員に気を配らなければならない現実を考えると、どうしても気が立ってしまう宥志だ。
生徒だけでも手一杯だと言うのに、この上教師の面倒まで見ていられない。
「まあまあ。
そうカッカしないで下さい。
せっかくの冬季合宿なんですから、楽しくいきましょう。
……ね?」
にこやかに微笑みかける桜井を横目に、宥志はまたしても盛大なため息を吐いたのだった。
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